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131 由家[sage]05/11/09 17:21 ID:Y8+9tCoy0
「それで、どうかしたんか? てか、お前確か親父さんの仕事で海外に行ったんじゃなかったっけ」
確か親父さんが国際関係の仕事に就いてるとかで、こいつの家が随分リッチだったのを覚えている。
「はい、それで昨日、ロンドンから日本へ帰ってきたんです」
と、なんかすげぇ嬉しそうに藍が言っている。
ちなみに、俺と藍が話している2,3メートル先では、さっきからずっと千羽が
恨んでるような、説明を求めていそうな微妙な表情で見つめていたりする。
「昨日から来て、わざわざ家まで来るって事は、割と近所に引っ越してきたとか?」
「はい、由家さんの……あ、気に障るようでしたら」
自分が言おうとしている言葉に気づき、慌てて気まずそうな表情になる藍。
「あー…いや、別にいいよ。もうとっくに過ぎたことだし、逆にそうされるほうがやりづらい」
「あ、はい…わかりました」
それでは、と気を取り直して藍が説明を続ける。
132 由家[sage]05/11/09 17:31 ID:Y8+9tCoy0
「それで、帰国前に由家さんのご両親がお亡くなりになったことを知って、
以前住んでいたところの近くにあった施設から、引き取り先でもある今の
由家さんの住所を探してきたんです。」
その後に自分の引越し先を決めたから、正確には、日本に帰ってきたのはもっと前ですね。と、
少しだけ苦笑しながら語る藍。
「お前はまた……なんだってそんなことを」
俺としてはまったくわけがわからない展開に戸惑っているわけだが、目の前の少女は、
その長い黒髪を軽く撫でて、
「もちろん、由家兄さんを我が家へ迎えるためです」
なんてことを、笑顔でさらっと言ってきた。
133 由家[sage]05/11/09 17:50 ID:Y8+9tCoy0
「ぇっ……!?」
「……は、はあ?」
藍の言葉を理解しきれずに――というか、理解が追いつかずに――思わず首を傾げてしまう。
なぜ、なんだって今頃藍の家に俺がご厄介にならねばならないのか。
3メートル向こうでは、千羽が俺以上の困惑ぶりを見せている。
「…どうしました?」
「いや……なんでまた、そんなことをいきなり言い出すんだよ。そもそも今更過ぎるだろ?」
藍の真意を計りかねる俺は、とりあえず意見を言って反応を待つことにした。
が、
「どうも、お久しぶりね、そこらへんの事情は私のほうから説明させてもらえるかしら?
このお家の人にも挨拶しないといけないし」
「……は?」
突如現れた思わぬ伏兵の声を、俺の耳が聞き取った。
「お母さん、もう着いたの?」
「……ていうと、もしかしなくても」
「あらあら、由家君たらしばらく見ないうちにすっかり大きくなっちゃって。おばさん嬉しいわぁ」
思わぬ伏兵、というか今までどうして出てこなかったのか、藍のお母さんが玄関前に居た。
134 帰り損なった[sage]05/11/09 18:02 ID:2Z64YUkh0
仕込みがすごいwwwww
135 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]05/11/09 18:08 ID:A29SxgLvO
藍母期待!
136 由家[sage]05/11/09 18:10 ID:Y8+9tCoy0
―――で、その後どうなったかというと。
あれから、後からさらに来たおじさんを加え、おばさんが俺と藍と、なぜか玄関の隅っこで
おろおろしてた千羽を連れて居間まで行き、うちの…というか、千羽の両親と挨拶やら事情の説明やらをしていた。
ついでに、その間俺と千羽と藍はお茶やらお菓子やらを互いの親に用意したりしていた。
話によると、もともと俺を引き取る予定だったのは藍のおばさんだったようで、海外から戻ってくるにはまだ3ヶ月から
半年ほどかかるということだったので、その間仲の良い知り合いであった千羽の両親と相談して、俺を預かってもらうことにしたんだとか。
ところが、藍の親父さんの仕事が思いのほか長引き、嫌がらせのような仕事の連続でずるずるずるずる……気づけば8年も経った後だったそうだ。
「んな、馬鹿な……」
それどんなエロゲーだよ。と、おそらくもっともしてはならないツッコミを入れる。
互いの親同士の繋がりにしても驚きだが、8年も長引く仕事とはいったい如何様なものか。
てっきりこんなイベントは千羽を義妹にもった時点で打ち止めかと思っていたが、
なかなかどうして俺もこの手の話に縁がある。
「そういうわけで、どうぞ兄さん。我が家へお迎えします」
137 由家[sage]05/11/09 18:28 ID:Y8+9tCoy0
「あ、ぅ……そんな」
「むむむむ……………」
正直、悩む。
藍はもう俺が自分の家に来るものと思い、期待に満ちた眼差しでこちらを見つめている。
一方、千羽のほうは俺がいったいどうするのかを不安そうな表情で、やはりじっと見ている。
(……ったく、俺にどうしろってんだよ)
どっちか取ったら絶対に片方が泣くな、こりゃ。
二人の過去を知っているため、どちらかを選んだ後の光景が簡単に想像出来る。
「あー、と……一応聞くけど、父さんも母さんも、おばさんもおじさんもそれでいいわけ?」
「私たちは由家君を家へ迎えに来たのだけれど、やっぱりそっちのほうに長く住んだ分、この家のほうがいいかしら?」
「お母さんっ!」
おばさんの言葉を、藍の焦るような声がふさぐ。
「藍、由家君だってこの家ですでに8年も過ごしてきたのよ? いくら家へ引き取る約束だったとはいえ、
ここまで大幅に遅らせてしまったのであれば、由家君がこの家に愛着を持つのは当然だわ」
「そんな、でも……っ!」
「いいから聞きなさい、藍。あんまり落ち着きがないと由家君に嫌われちゃうわよ?」
「ぇ……っ」
「そう、可愛い女の子は、ここぞという時はちゃんと空気を読まないとね」
一瞬、とても悲しそうな顔をした後、それを我慢するように藍は黙り込んだ。
その手に優しく触れて、おばさんは藍を母親の顔をして諭した。
「それでだけど、由家君。あなたが家へ来るか、それともこの家に残るかは、当事者である
あなた本人に決めてもらおうと思うの」
138 由家[sage]05/11/09 18:37 ID:Y8+9tCoy0
「は……俺が、ですか……?」
「ええ、こういう大事な時には、きちんと自分で選ばないと駄目だからね。誰かに決められちゃ納得いかないものでしょう?」
確かにそうだ。
俺だってさっきも悩んでいたように、こんな大きな話を周りの意見だけでとんとん拍子に進められて、
自分はそれに振り回されてってのは納得もいかないし、良くない。
「父さん、母さん……」
「あなたの好きなようにしなさい」
確認の意味をこめて両親であってくれた人たちを見つめる。
二人は、それぞれ想いのこもった頷きを返してくれた。
「………」
「………」
「ん………」
さて、どうしてこんなことになったのかはこの際置いておこう。
今は真剣に、きちんと選ばないと。
(どうする―――)
>>150
1:藍の家へ行く
2:このまま家に残る
139 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]05/11/09 18:38 ID:A29SxgLvO
ちょっと遠いwwwww
140 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]05/11/09 18:39 ID:uULKbtHI0
「・ω・)「ガオー
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